交流分析のすすめ

交流分析のすすめ

2021年7月24日

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「交流分析のすすめ 人間関係に悩むあなたへ」 杉田峰康

 

それなりに思い悩むことがありまして、どうしていつもこうなっちゃうかなあ、と思い余ってある人に相談していたら、「それはあなたがゲームのスイッチを入れてしまったんですよ」と言われた。ゲームのスイッチ?
 
その人とは、以前にも同じように話をしたことがある。そのときは、自分の言葉には裏のメッセージがあって、「あなたの好きなようにしていいのよ」と言いながら、実は心の奥底では相手をコントロールしたいと願っているのかもしれない、と気づいてしまったんだよね、などという話をしてた。そうしたら、一度「交流分析」の本を読んでみたら?と言われたのだ。その時は、題名に「交流分析」が含まれる本をパラパラっと立ち読みして、なんだか人間関係のマニュアル本みたいだな、と感じてしまって、読むのをやめてしまった。
 
だが、今回の「ゲームのスイッチ」にはちょっと引っかかるところがあって、そうか、ちゃんと読んでみようと思ったわけだ。そして、そう思って読んだら、それなりに得るところはあった。
 
交流分析とは、自己発見と人間理解、より良い人間関係を求める「気づき」の科学だそうだ。この入口が、私にはなんだか胡散臭く見えてしまったのよね。人間の性格や行動をいくつかのパターンに分けて分析して、それがなんなの?って。
 
でも、その時に私が追い詰められていたのは、確かに、きっかけはいろいろあれども、いつもいつも同じパターンのやりとりと、最後に残る不快な感情。これはまさに繰り返されるゲームではないか!と素直に思えたのだった。
 
何でもうまくできるのに、最後にはどん底に陥ってしまう「元の木阿弥」。
失敗を繰り返しては相手に自分を処罰させようとする「キック・ミー」。
相手にアドバイスを求めておきながら、絶対にそれに従おうとはしない「はい、でも」。
などなど約30の人間関係のゲームが交流分析では分類されている。
 
ゲームが行われるのは、ゲーマーが全く無視されるよりは自分の存在を認めてもらうために次善の策を選ぶようになるということや、ゲームを続けることで、いつか相手が自分の思い通りになると魔術的に思い込んでいる(だが、そんなことは絶対にない)からだ。そんな非生産的なゲームから逃れるためには、ゲームのスイッチを入れない、ゲームのカモにならない、徹底的にそれを回避する必要がある。
 
ということに気づけただけでも、この本を読む価値はあったというものだ、と私は思った。どうやら私はゲームのカモになりやすい体質だったらしい・・・。

2013/12/2