今日も舞台を創る

今日も舞台を創る

101 池田道彦 岩波書店

その昔、渋谷パルコ劇場では、クリスマスになると「ショーガール」という舞台が行われた。木の実ナナと細川俊之のラブストーリーで、途中にショーが入る。二人は思い切り歌って踊って、そしてコミカルに、時にしっとりと恋愛を演じる。大学時代の友人がチケットを取ってくれたのが始まり。彼女がこの舞台に誘ってくれたことには今でも感謝している。結婚して引っ越してからも、地方公演のチケットを押さえて見に行ったりしたものだ。本当に素晴らしいショーだった。「ショーガール」は14年続いた。そのプロデューサーをやっていたのが、この本の作者だ。

新宿ACBというジャズ喫茶でのアルバイトから始まって、渡辺プロのマネージャーとなり、そこから独立して「アトリエ・ダンカン」を立ち上げた作者。木の実ナナ、沢田研二、志村けん、浅丘ルリ子、田原俊彦、東山紀之、森山未来・・・。様々なスターたちの舞台を作り上げてきたその歴史が語られている。私の見た舞台の話もいくつかあって、本当に懐かしかった。沢田研二のACTシリーズを作ったのはこの人だったのか!と初めて知った。

「アトリエ・ダンカン」は残念ながら倒産の憂き目を見る。だが、彼はまだあきらめず、2026年に完成するであろうサグラダファミリアをテーマにした舞台をその記念すべき年に開催するつもりであるという。できるといいなあ。病も得て、年齢も年齢ではあるけれど、どうか実現していただきたい。

地方に引っ込んで、舞台をなかなか見られなくなってしまっているけれど、コロナも収まりつつあるし、また見に行きたいな、と改めて思える一冊であった。