倚りかからず

倚りかからず

2021年7月24日

35       「倚りかからず」  茨木のり子 筑摩書房

「歳月」で、茨木さんに再会した気分でいたら、図書館の「本日返って来た本」コーナーで、この詩集と目が合った。
これは、題から、茨木さんらしい。
読んだら、収められた詩も、いつもの茨木さん。でも、少し、年を取られましたか?と思った。
いい意味で、なんですが。
若々しさよりも、頑固さが前に出ているような。それが、今の私には、むしろ、ぴったり来るような。

「苦しみの日々 哀しみの日々」という詩を、今は胸に収めて、何度も反芻したい。

苦しみの日々
哀しみの日々
それは人を少しは深くするだろう
わずか五ミリくらいではあろうけれど

さなかには心臓も凍結
息をするのさえ難しいほどだが
なんとか通り抜けたとき 初めて気付く
あれはみずからを養うに足る時間であったと

(「倚りかからず」所収「苦しみの日々 哀しみの日々」より一部を引用)

2011/5/16