偏愛ムラタ美術館 展開篇

偏愛ムラタ美術館 展開篇

2021年7月24日

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「偏愛ムラタ美術館 展開篇」村田喜代子 徳間書店

「偏愛ムラタ美術館」の続々編である。前々作を読んだのは2011年2月。おお、震災直前ではないか。随分時間が経ったものだなあ。

この本は、美術雑誌「一枚の繪」に連載している文章をまとめたもの。全ページカラー刷りの小さい贅沢な本なので、なかなか次を出せずにいたところ、徳間書店の編集者が申し出て引き継いでくれたのだという。ありがたいことです。

アンドリュー・ワイエス、ホックニー、黒田征太郎、古墳、ビザンチン、古地図、奥山民枝、李朝民画、戦争画、つげ義春、会田誠、堀晃、甲斐大作、後藤愛彦、野見山暁治・・。知らなかった絵、見たことのなかった絵が次々に展開し、それをムラタさんが嬉しそうに解説する。何という贅沢。ムラタさんの文章を通して、作品はぐっと身近になり、人間臭くなり、作者がそこで息を潜めて立っているような気さえしてくる。芸術とは本来そういうものだ。と改めて思う。

これと、前読んだ本の間に、もう一冊続編があるらしい。早速探さなくては。

2020/11/30