北海道旅行記 2022 6月 その1

北海道旅行記 2022 6月 その1

2022年7月7日

夫が定年退職した。これからは時間が自由に使える。本当は海外を旅してまわる予定だったのが、コロナのせいで大幅に狂ってしまった。なので、せめて国内だけでもと考え、大人の休日倶楽部に加入した。大人の休日倶楽部は、観光閑散期に休日パスを発行する。割に安い値段設定でJR東日本やJR北海道の新幹線、特急が五日間乗り放題になる。ここはひとつ、鉄道だけで行けるところまで行ってみようということになった。

初日の目的地は函館。何年も前から行きたかったのになかなか行けていなかった場所だ。新幹線はやぶさに乗れば、座ってるだけで到着できる、と思ったのだが、やはり遠い。家を出たのは朝八時過ぎだったが、新幹線の終着駅、函館北斗を経てはこだてライナーで函館駅に着いたのは午後一時近くだった。

雨が降っているのは知っていた。だが、風も吹いてるとは知らなんだ。駅隣接のホテルを予約していたのだが、ほんの数メートル、外を歩いただけで吹き飛ばされそうになった。よろよろと荷物を預け、まずはお昼を・・・と大きな道路を隔てた駅前市場に移動しようとしたら、ぶわーっと風が吹いて、帽子が飛ばされ、傘の骨が折れた。暴風雨である。

わーわー言いながら市場に逃げ込み、なんとなく気力を失って、空いていそうな店で海鮮丼を食べる。ま、おいしいはおいしいのだが、これからどうしよう。チェックイン時間まではどこかで時間をつぶさねばならないし・・・。駅に戻ると人があふれている。室蘭や札幌に向かう特急が暴風雨で運休しているそうだ。カフェで休もうかと思ったら長蛇の列。観光案内所があったので、相談しに行く。

函館山は、ロープウェイは動いていますが、行ったところで何も見えませんよ、と案内のお姉さんが気の毒そうに言う。あと少しでバスターミナルを出るバスで五稜郭前まで行けば、降りて三秒で五稜郭タワーには入れますし、五稜郭は見えます、とのこと。そこで見学して戻ってきたら、今度は市内循環バスに乗って一周すれば、車内から何となく市内観光はできるかもしれません、と。市電の乗り場は少し歩くのでお勧めしないという。

バス乗り場に行って、五稜郭タワーを目指す。空港に行くというおばちゃんたちが、空港直通バスよりもこのバスに乗ってあちこち回っていったほうが観光になるわよね、などと言い合いながら同じ停留所で待っている。我々と同じような発想だけど、この暴風雨で飛行機が飛んでるのかしら、と少々心配にもなってくる。

バスが来た。五稜郭タワーは結構遠い。降りたら、三秒じゃタワーに到達しない。九十秒くらいはかかるかも。それでもなんとか五稜郭タワーに入ってチケットを買い、上に上がる。なるほど、五稜郭は本当に星形をしてるわねー。

新選組ファンがよく来るらしく、アニメのかっこいい新選組の面々のイラストや、土方歳三のブロンズ像が飾ってあったりする。でも、私は新選組はあんまり好きじゃない。司馬遼太郎の「新撰組血風録」によれば、敵を討ち取れなかったり、襲われて後傷を作っただけで、処罰の対象になったという。反幕浪士や長州藩士を斬り殺すことが仕事で、規則違反や態度の悪いものは、じゃんじゃん粛清される。粛清って、やめさせられるんじゃなくて、斬首されたり、切腹されたり、暗殺されたり。しかも、一度入ったら、やめるのは禁止。地獄じゃん。なんて思ってたら「へー、土方歳三ってこのあたりの出身なんだ、写真があるぞー」とのんきな声が聞こえた。違う違う、土方歳三は日野の出身だよー、と言いたくなる私。

五稜郭も見たし、戻りましょう。バスの時間を見たら、まだかなり間があるし、雨も小やみになってきた。せっかくだから市電の駅まで歩こうか。というわけで、えっちらおっちら歩いて市電に乗る。車窓から市内観光を…と思ったら、窓はくもりまくりで、外は全く見えませんでしたとさ。あーあ。

ともかくチェックインの時間にはなったので、ようやくお部屋に入れてもらって、大浴場で体を温め、疲れをとる。そう、この日、内地は激暑で大騒ぎだったのだが、函館は結構冷たかったのだ。ゆっくり休んでひとごごちが付いた。ぶらぶらお散歩に出かけると、青函連絡船が停まっている。

本当は内部も見学できるのだが、受付時間を過ぎていたので残念でした。

さて、次は夕飯である。ホテルのフロントで教えてもらった「いか太郎」というお店。確かにイカはおいしゅうございました。運ばれてきた時点では、まだ頭やら足やら動いてるのよ。繊細な人なら怖がって食べられなくなるところなんだろうけれど、野蛮なわれわれは大喜びでいただいたのでありました。

その2へ続く→

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サワキ

読書と旅とお笑いが好き。読んだ本の感想や紹介を中心に、日々の出来事なども、時々書いていきます。

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