北海道旅行記 2022 6月 その3

北海道旅行記 2022 6月 その3

2022年7月12日

本日の乗車予定は10時過ぎ。早めに起きたので、食後、北大周辺を散歩する。懐かしい場所。北大は駅近くに広大なキャンパスを持っていて、本当に恵まれた学習環境だ。

古い建物も残されている。学生だけでなく、観光客やジョギングの人たちが当たり前のようにいる。いい大学だよなあ。キャンパス内のセイコーマートで今日のお昼のサンドイッチを購入する。

さて、本日は糠平温泉を目指す。電車とバスを使っての大移動だ。10時半ごろに札幌を出て特急とかちで1時過ぎに帯広。そこからバスで二時間弱。バスは、途中で上士幌の町をぐるぐると回る。まっすぐ行けば一時間で着くんじゃないかと思うが、遠距離バスとしての役目と市民の足としての役目の両方を果たしているバス路線のようなので仕方がない。ぐるぐる回りが終わると、どこまでもまっすぐにバスは進む。緑の牧場や農場が延々と続く。気持ちのいい風景ではあるが、運転手さんは、本当に進んでるんだろうかと、ふと気が遠くなるんじゃないか、なんて心配になる。

3時過ぎ、糠平温泉公園前に到着。中村屋という宿が本日の目的地。夫がコウケンテツのテレビ番組で見て、一度訪ねてみたいと思っていたという。建物は古いけれど、よく手入れされていて、ホスピタリティ溢れる宿である。

ロビーや廊下のあちこちに本棚があって、小説や漫画、児童文学に評論集、ノンフィクションなどあらゆるジャンルがそろっている。その本が、適当に集めましたという感じではなくて、いかにも好みに沿って読みながら集めたという並びなので嬉しくなる。この読書傾向の人とはお友達になれるわ、私。「あしながおじさん」や「誰も知らない小さな国」の横には遠藤周作の「沈黙」があったりして。長期滞在してこの本棚の持ち主と話をしたら、きっと楽しい。

荷物を置いて、外にお散歩に出る。宿でもらったネイチャートレイル散策マップ(裏には動植物図鑑付き!)からまず野鳥の森をめざす。途中、鹿の親子が「私たち鹿ですけど何か?」という風情で全く動じないで通り過ぎた。

鳥の声は聞こえるけれど、なかなか姿を見つけることができない。バードウォッチャーとしてはまだまだ未熟な私たち。今度は糠平川と飛び石で超えながら糠平川にかかるアーチ橋のほうへ。どうやら昔はJRがここまで来ていたらしい。

そこから「東大雪の道」の表示がある道を歩く。「ひがしだいせつって誰だろう。画家かなあ。宗教家?哲学者か?重厚な名前だけど、知ってる?」「さあ・・」なんて会話をしながら行くと、「ひがし大雪自然館」がある。おお、東大雪は、人名ではなく、ここは大雪山国立公園なのでありました。その東側に糠平温泉があるってことねー。自然館の中には、大雪山国立公園の地勢図や動植物分布図、剝製や昆虫、植物標本などがある。ヒグマもエゾシカもいるのね。黒曜石やアイヌ文化など、興味深い展示だった。

宿に戻って、温泉。女性用は古いタイルが美しいレトロなお風呂。お湯は無色透明である。そして、夕食。自家製の果実酒を食前酒にいただけるということで、私はフキノトウ、夫はギョウジャニンニク。どちらも風味豊かなおいしいお酒だった。食事は、少量ずついろいろなものを楽しめる、地元産の食材中心のおいしい料理ばかり。妙に派手だったり、やたら量の多い旅館の多い中で、食べる人のことを大事に考えた優しい食事だと感心しつつあじわった。夕食後、夜の短時間だけ露天風呂が女性専用タイムになっているというので露天風呂へ。「ほしのさと」という名前通りの、空が一面に見える開放感あふれるお風呂だった。

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