夜に星を放つ

夜に星を放つ

43 窪美澄 文芸春秋

なんでこれを予約していたのかなあ。忘れた頃に図書館から連絡が来て、読んだ。さっき調べたら直木賞受賞作だって。でも、賞を受賞したことが読書のきっかけになることは、私の場合、ほとんどないので、たぶん、どこかの書評でほめられていたんだと思う。

窪美澄を読むのは「夏日狂想」以来だ。その前に読んだ「朔が満ちる」の感想にも書いたけれど、この作者が私は好きだったり嫌いだったりする。書いているテーマに触発されはするのだけれど、その取り組み方に共感できない部分もあるからなんだと思う。

この本は、今までの作品ほど突き詰めた感がなく、読者にゆだねる部分が大きいのかもしれない。だから、口当たりよく読み切れるし、苦いながらもふんわりとした読後感がある。こなれてきた、と言えばいいのかな。でも、じゃあ、すごく胸に響いたかというと、そういうこともないような。

双子の妹を失った女性の婚活アプリで知り合った恋人とのかかわりと別れを描いた作品や、学校でいじめられている少女が亡くなったはずの母親に守られる話、バツイチになった男性が隣に引っ越してきたシングルマザーと関わる話、などなど。人との関わりと別れをテーマにした物語が星座を軸に描かれる。きれいな短編集だと思う。でも、深く心に残るわけではないなあ。それは、私が恋愛小説にそれほど自己投影しないせいなのかもしれないけれど。

この作家との付き合い方が、まだつかみ切れていない気がする。でも、だからと言ってもう読まない、とは思わない。これからどうなっていくのか、気にはなる。そんな作者であり、作品であった。