太鼓たたいて笛吹いて

太鼓たたいて笛吹いて

2021年7月24日

「太鼓たたいて笛吹いて」こまつ座第87回公演

先日、とあるイベントを、企画から半年かけて、無事終わらせました。実現まで良くがんばった自分へのご褒美として、こまつ座を久々に観て来ました。演劇好きの友人のお誘いです。林芙美子の生涯を、大竹しのぶが演じます。

こまつ座の公演は「きらめく星座」「イーハトーヴォの劇列車」に続いて三回目です。(と言っても、ここ26年くらいの間の話なんですが。)井上ひさしさんの戯曲はすばらしいけれど、新作は、危ない。ぎりぎりまで脚本が出来ないことが多くて、初日なんて、役者がぼろぼろだったりします。でも、今回の作品は、再演なので、安心して観にいけました。

大竹しのぶのナマの舞台は、これが初めてです。彼女の演技はすごい、と前から思っていたのに、今まで機会がありませんでした。楽しみにはしていたけれど、若干不安もありました。

ずいぶん前のことですが、NHKで夕方、「ちろりん村とくるみの木」のアニメをやっていたことがありました。その主題歌を歌っていたのが大竹しのぶです。いやはや、正直言って、かなりひどい歌でした。なぜ、こんな歌をテレビを通じて毎日のように聞かされねばならないのか・・と思ったものです。

井上ひさしの戯曲に、歌は付き物です。おいおい、しのぶちゃん、大丈夫かい?って、ちょっと心配でした。でも、でも!
歌も演技もすばらしかったです。あれからきっと、たくさん訓練したんでしょうね。とても、良かった。ただ歌を上手に歌うのではなくて、きちんと意思を表現する。同じ歌を何度も歌うんですが、歌詞が変わらないのに、歌の意味するところが違ってくる。それが、観客に手に取るようにわかって、役者ならではの歌い方だと、感心しました。

音楽は、朴勝哲さんのピアノ演奏のみでしたが、それがまた、とてもいいんです。昔見た「ショーガール」の宮川泰さんのことを思い出したりしました。

島崎藤村の姪が登場したのには、びっくり。そう、「新生」の中で、島崎藤村に、いい様に遊ばれ、捨てられたかわいそうな女性です。その後が気になる人でした。井上ひさしさんも、気になっていたのかしらね。大事な役目を果たしていました。

重い重い主題を持ちながらも、舞台には明るさがありました。笑いもありました。どんなにつらいときも、きっと笑いは人を助け、勇気付けてくれる。そんなことも、考えました。

新宿サザンシアターは初めてです。マチネーは、年配のご婦人が多い。広いトイレも長々と列が出来ていました。(劇場のトイレは、いつも気になります。)最近は、マチネーのほうが先に売り切れるらしく、夜公演を抑えてでも、マチネーをうつそうです。私も、子どもが学校に行っている間に観に行けるので、ありがたいです。

演劇好きなその友人と、公演前に、食事しながら積もる話をしました。武田真治と山口祐一郎のトートの話、蜷川のさいたま劇場公演の話、藤原竜也の成長の話、ジュリーの還暦コンサートの話。それから、彼女は全くお笑いに興味がなく、私の大好きな千原ジュニアの、何がいいのかついにわからないという話。でも、お笑いの人は、色っぽいよね、と。仕事の関係で、彼女は、20年も前に爆笑問題の太田光と関わったことがあります。彼は、ものすごく、色っぽかったそうです。北野武も、すごく色っぽいんだそうです。思うに、お笑いの人は、道を踏み外した危うい色っぽさがある。それがない人は、売れないね、と。そんな話も、興味深かったです。

とまあ、そんな午後でした。このひとときにエネルギーをもらって、また、毎日をがんばろう、と思えるような午後でした。

2008/12/14