岸恵子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない

岸恵子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない

2021年8月23日

68 岸恵子 岩波書店

岸恵子の著作は何冊か読んだ気がしていたんだが、記録にないなあ。

「君の名は」で一世を風靡した女優さんにして映画監督イヴ・シアンピと結婚してフランスに移住し、離婚後は国際ジャーナリスト、小説家としても活動した、美しく毅然とした女性である。

まず驚いたのは、この方、2.26事件をリアルタイムで覚えていらっしゃるという。そんなお歳なのね。信じられないくらいしっかりしていらっしゃる。

横浜で大変な空襲をくぐり抜け、戦後はバレエを習い、映画撮影の見学に行ったところから、女優の卵となり、主演も務めるようになり、出演する映画を選べるようになりたいと願って女優だけのにんじん倶楽部というプロダクションを設立し、国際的な映画にも出演し、そしてイヴ・シアンピと出会って結婚。激動の人生である。

フランスに移住してからはいろいろな国を巡り、ユダヤ人問題に直面し、社会問題を勉強した。出産、そして、離婚。結婚する時にプロダクションの人から渡された名前入りの原稿用紙に文章を綴ることで生計を立て、子供を育てるようになる。イスラム圏やアフリカの国際問題を報道するジャーナリストとなり、女優としても仕事をし、小説も書き。本当に様々な活躍をしながら、凛としている。なんとかっこよい人なのだろう。

こう生きたい、と願うのはおこがましすぎるが、こんな風に堂々と生きた人がいる、ということが私を励ましてくれる。私は私なりのやり方で、ちゃんと生きていこうと思った。

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サワキ

読書と旅とお笑いが好き。読んだ本の感想や紹介を中心に、日々の出来事なども、時々書いていきます。

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