時効

時効

2021年7月24日

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「時効」北野武 rockin`on

なんでこの本を頼んだんだろう、と不思議に思いながら読んだ。あとで気がついたんだけど、千原Jr様が、太田光が書いたあとがきが素晴らしい、と言っていたからなんだ。だけど、太田のあとがきが載っているのは文庫の方で、借りたのはハードカバーだったから、目的は果たせずじまいってわけ。

北野武がそんなにすごいと思わないで今まで来た。「ひょうきん族」は好きだったし、「元気が出るテレビ」も好きだったけどね。なんだか不自由な人だなあ、とどこかで思っていた。

この人、マザコンなのよ。かなり強烈なお母さんに育てられて、その影響からいまだに抜け出せていない。お母さんのお葬式で泣き崩れた姿をテレビでみたことがあってびっくりしたんだけど、そういうところで正直な人なんだろうね。この本の中にも、マザコンの自分が母親の次に手に入れたのが妻だ、みたいなことが書いてあって、ああそうなんだと思った。

「オールナイトニッポン」の話は結構面白かったかな。日常のちょっとした面白話みたいなのが今のバラエティの主流になっているんだけど、それの取っ掛かりはじつはたけしの「オールナイトニッポン」だった、ってこの本には書いてある。芸じゃない、ただの日常会話の面白さみたいなものを、ラジオだから、深夜だから、ってやっていたら、それが人気が出ちゃって・・・みたいなことだった。

あの頃の深夜ラジオは本当に面白くて、夜中にひっそりと一人で聞いていると、パーソナリティが自分だけに向かってしゃべっているような気がした。私はたけしの放送は全然聞いていなくて、タモリが猛烈に面白かったことしか覚えていないんだけどね。

結局のところ、お目当ての文章は読めず、この本を読みきっても、特に北野武に興味はわかず。そんな本ではあった。
2014/4/11