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「架空OL日記 1・2」バカリズム 小学館文庫
バカリズムは私の尊敬する人の一人である。なんといっても、『IPPON グランプリ』に三回優勝している王者である。R-1でも、出場しているときは常に一番面白い、と思っていた。なぜ彼が優勝できなかったのか、未だに納得できていない。まあ、それはいいとして。
この本は、バカリズムが架空のOLの日常生活を妄想して書いたブログである。そういうブログがあるらしいという噂は聞いていた。が、あくまでネタの範疇なのだろうと思っていた。図書館でリクエストしたら、ものすごい待ち順なので、頼んだことを半分忘れかけていた。やっときたので、読んで、そりゃもう、驚いた。
これはなんだ。なんというリアリティだ。作者がバカリズムとなっていなかったら、誰も気がつかない。絶対に気がつかない。どう考えても、これは一人の割に性格のいい若いOLの日記そのものだ。職場の嫌な上司とか、仲良しの同僚とか、仕事上のエピソードとか。いろいろなことを彼女なりの視点で切っていく、その切り口も素晴らしい。センスのいい子だなー、と普通に感心する。
日記文学だな、と思う。私は人の日記を読むのが好きな最低なやつなんだが（by板尾創路）、それって、なんでもない日常の繰り返しから、一人の人間のあり方や世界の捉え方が立ち上がってくるからだと思う。もしリアリティがなかったら、そんな奴はいないだろう、と思わせられてしまったら、一気に冷めてしまう。だけど、この日記は最後まで彼女の日常を楽しめたし、そして、彼女がすごく好きになった。友達の一人みたいに感じてしまった。
なんでこんなものを書けるのだろう、バカリズム。アメトークで「女の子苦手芸人」と認定されていたのに。実は、ものすご～く、女心のわかる奴だったりして。ってか、この技術、どこで手に入れたんだ？
2014/6/30