百合中毒

百合中毒

2021年8月10日

64 井上荒野 集英社

6月以来の井上荒野である。この人の父親、井上光晴は、瀬戸内寂聴と不倫していた。と、井上の妻である母も知っていて、瀬戸内寂聴と仲良しだったりしたから、もうよくわからない。この「百合中毒」でも、父親が家族を捨ててイタリア女と何十年も暮らして、彼女がイタリアに返ったからと行ってしゃあしゃあと家に帰ってきたり、妻は妻で、彼の留守中にできた新しい恋人に、何もはっきりしたことを言わずにのほほんとしていたりして、よくわからない。それどころか、この家族はみんなそれぞれにいろんな不倫相手がいたりして、読んでいて本当にザワザワしてしまう。

井上荒野はこういう状況を描きたいのかな。そういう中で一人ひとりがどんな思いを抱えて、何を言い、何を言わずに生きているかを追ってみたいのかな。

なんだか私は疲れた。読み終えても、何だったんだ、これ、としか思えない。こういう孤独のあり方は、私には無理だあ。