私ー谷川俊太郎詩集

私ー谷川俊太郎詩集

2021年7月24日

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「私ー谷川俊太郎詩集」谷川俊太郎 思潮社

2007年に出た詩集。娘の小学校で、谷川さんをお呼びした企画を担当したのが2008年だったと思うから、その直前か。谷川さんも、ずいぶんとおじいさんになって、それを淡々と受け入れているような詩が多い。それがまあ、素敵だ。

佐野洋子さんの手にかかると、谷川さんも型なしだったけれど、それは、谷川さんがダメダメなんじゃない。あの佐野さんと堂々と向き合って、受けて立った谷川さんは、本当にすごい。あんなにも素敵な男性だからこそ、佐野さんに立ち向かえたのだ。

この詩集を読むと、あ~、やっぱりあの分厚い本、買って家に持ってるべきかな、と悩んでしまう。本棚事情はともかくとして、だよ。谷川さんのすべてを手元においておけるなんて、すごいじゃん、と思ってしまうよ。

「さようなら」という詩の穏やかな凄みといったら、どうだよ。

心臓さんよ どきどきはらはら迷惑かけたな
脳髄さんよ よしないことを考えさせた
目耳口にもちんちんさんにも苦労をかけた
みんなみんな悪く思うな
君らあっての私だったのだから

(引用は『さようなら』「私 谷川俊太郎詩集」所収 より)

2011/12/11