空をこえて七星のかなた

空をこえて七星のかなた

138 加納朋子 集英社

久しぶりの加納朋子。前に読んだのは、「二百十番館にようこそ」じゃなかったかな。相変わらず暖かく気持ちのいい世界を描いている。

今回は、星にまつわる七つの短編集。短編の寄せ集めと思いきや、最後には、おおっという展開が。うまいなー。最初の短編を用心深く読んでいると、最終編で、なるほど、と思えるからそれが楽しい。

かっこいいお母さん、かっこいい同級生、ちょっと情けないお父さん、のんきな男子学生。かっこよく見えても苦労していたり、情けなく見えても実はかっこよかったり、のんきそうで大事なことはしっかり押さえていたり。そうなんだよね、人間って見た目だけじゃわかんない、ちょっと知り合っただけじゃ見えてこない。

信じられる人をしっかりと信じることや、大事な人を守ることや、自分を保ち続けること。そういうことがいつも根底にあるから、加納朋子は読んでいて気持ちがいい。