花もて語れ

花もて語れ

2021年7月24日

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「花もて語れ」 1~3 片山ユキヲ 小学館

北村薫さんが絶賛されていたので、読みたいとずっと思っていたが、入手困難だったコミック。増販されたらしく、ツタヤで発見。三巻までを一気に読んだ。

朗読の話だ。取り上げられるのは、清少納言の「枕草子」や島崎藤村の「初恋」、宮沢賢治の「やまなし」に、斎藤隆介「花咲き山」など、実にベタな・・というか、教科書的な作品だ。であるのに、これらの作品が、いきいきと立ち上がってくるのに驚く。

内容は、ちょっと紅天女的な匂いもあるかもしれない。競い合いながら、朗読に成長していく少女たちの物語だものね。

私は読み聞かせをするし、ストーリーテリングもちょっとだけかじっている。だから、わかるところもある、共感する部分もある。けれど、やっぱり読み聞かせやストーリーテリングは、朗読とはちょっと違う。

私たちがやっていることは、入り込みすぎてはいけないのだ。お話をする私という人間は、そこに居続けて、子どもたちと関わりを持つ。関わりあうことに一つの意味がある。しかし、朗読というのは、むしろ、朗読する人間は、もう、そこにいなくなる。作品だけが立ち上がる。それが、朗読の理想なのかもしれない。そんな風に感じた。

2012/4/28