連休の旅

この島も、曲がりくねった細い細い路地が、どこに行くかもわからずに続いています。たぶん、こっちだろうと見当をつけた道も、いつの間にかぐねぐねと曲がって、方向がわからなくなり、どう見ても、民家の庭だろうと思えるようなところも、実は道が続いていたりします。あそこはさすがに行き止まりだろう、とおもえるどん詰まりが見えても、多少の希望を残していってみれば、あーあ、やっぱり行き止まり。塀が張り巡らされて、その向こうには海が見えるのに、行く事はできません。

急坂を、ふうふう登って戻ります。どこまで戻ってどこからどっちへ方向を変えたら、渡船場なんだ?とあれこれ言い合います。と、なぜかさっきの中年カップルとすれ違います。
「あの人たちは、どこへ向かってるんだ?」
「きっと我々と同じだよ、迷ってるんだ」
「ただ単に、手をつないで歩くのが目的なんじゃないか」
「手なら、どこでもつなげるじゃない」
「いや、こういう離島でないと、つなげないんだ、きっと。」
「そ、そうか・・・」
と、妄想しながら、我々も進みます。

あちこち迷って、なぜか広い広い道に。こんな広い道があってもいいのか?本当に、渡船場にいけるのか?
「いや、俺の野生の勘はこっちだと言っている」
と、夫がオトコらしく断言します。
「野生の勘なんて、あったのー?」
「随分飼いならされた野生だなー」
など野次が飛びますが・・・相当長いこと歩いて、「渡船場」の道標が。道路を渡ってすぐに、ほとんど目立たなく、あっさりと渡船場が見えました。

「これであの不倫カップルが居たら、笑っちゃうな」
「勝手に不倫にして・・そうとは限らないのに」
「さっきすれ違ったのに、ここにいるわけないじゃん」
と言い合いながら、渡船場に入ったら、手をつないだ中年の彼らが・・・。
笑いをこらえるのに、苦労しました。

2009/12/5