還暦からの底力

還暦からの底力

2021年7月24日

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「還暦からの底力」出口治明 講談社現代新書

 

こんな題名の本を読んでみようと思う歳になってしまったんだなあ、としみじみ。歳に負けず、人生を楽しもうぜ、という基本姿勢の本であるが、最初に、90歳過ぎて首相になったマレーシアのマハティール氏の事例を出されてもなあ。一緒に食事したら、70歳の著者と同じペースでご飯食べてましたよ、と書いてあるけど、流石に90過ぎたら引退しなはれ、とは思っちゃうかな。それはともかく。
 
書いてあることは、至極まっとうで、具体的には書いていないけれど、前政権、現政権への批判的な姿勢が見て取れる。国のトップに知識と教養がないと大変なことになる、ということ歴史的事実を引きながら、強く訴えているからね。
 
人はなんのために勉強するのか?という問いに対して山本義隆という科学史家の言葉が引用されている。
 
「専門のことであろうが、専門外のことであろうが、要するに物事を自分の頭で考え、自分の言葉で自分の意見を表明できるようになるため。たったそれだけのことです。そのために勉強をするのです。」
 
そして、作者は、人生に教養はなぜ必要かというと、教養があったほうが無いよりも豊かで楽しい人生を遅れるからだ、とそれに付け加えて書く。美味しい人生における食材は知識であり、料理する力は「考える力」である。「教養=知識×考える力」が美味しい人生のために必須である、と説いている。だよね、と私も思う。
 
作者は、還暦過ぎたら大事なのは「人・本・旅」であるという。もうね、その通りなのよ、。還暦前から、その3つだけを大事に生きてきた気がする私。他者評価とか、功績とかどうでもいいから、人生を楽しみたい。そのための人との出会い、本との出会い、新しい場所との出会い。ああ、だのに、コロナが邪魔をするのよね・・・。
 
まあ、いずれまともな状況が戻ってくると願いましょう。そして、私は人と本と旅に生きるのだ。と結論づけて、読み終えた本でありました。

2020/10/26

 

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サワキ

読書と旅とお笑いが好き。読んだ本の感想や紹介を中心に、日々の出来事なども、時々書いていきます。

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