青森1950₋1962 工藤正市写真集

青森1950₋1962 工藤正市写真集

68みすず書房

青森が好きだ。青森には二度旅行したことがある。どちらもとても良い旅だった。青森が大好きになった。

この本は東奥日報社でカメラマンとなり、写真部長となって青森を取り続けた工藤正市さんの写真集である。仕事での写真撮影のほかに個人としてもコンテストや写真展へ出品し続け、高い評価を得ていたが、両立が難しくなり、仕事に専念するようになった。2014年にお亡くなりになった後にご家族が古いネガを見つけ、データ化し、インスタグラムにで発表したところ、国内はもとより海外からの反響も大きかったという。

写っているのは1950年から1962年までの工藤さんの住居周辺や通勤途上のスナップ、青森市内の働く人々の姿などである。なんでもない日常の姿が生き生きと映し出されていて当時の空気がよみがえるようだ。水たまりの多い道や、子どもたちの飾らない笑顔など、私にとっても懐かしい風景だ。

南米チリのサンティアゴから「今のうちの村そのままだ」などという反響もあったという。世界中で懐かしく、あるいは今も続く生活が写し出されているのだろう。

良い写真集だった。ネガが見つかって、本当に良かった。