高知旅行記 4

高知旅行記 4

2022年11月4日

さて、本日はもともとノープランである。ロビーで入手したパンフレット類を眺めながら、作戦を練る。昨日の自転車が楽しかったから、今日はもっと上流まで行って降りてこようか、と話し合う。ホテルの自転車だと上流まで上がって行くのが大変だが、川沿いに何カ所か「りんりんサイクルステーション」があってギア付自転車を借りられ、ホテルで乗り捨ても可能らしい。タクシーで行って、降りてくるだけなら楽かもしれないね、ということに。最初はかなり上流まで行こうかと画策したが、りんりんサイクルに電話してみたら、途中にせまい一方通行の道があって、大型トラックが走ったりするので結構きついですよ、とのこと。ついつい日和って中流の「かわらっこ」に自転車を予約した。

ホテルから「かわらっこ」までのタクシーの運転手さん、「どこから来られましたか」から始まって、関東の都県の並びがようわからん、という話になる。埼玉と群馬と栃木がごっちゃになっとる、と。四国はいいとこだが、新幹線もないし、仕事も金もない、とおっしゃる。大阪に住んだ友達が、老後はこっちに戻ろうと家を建てようとしたが、嫁さんに反対された、都会のほうがいいと言われた、と。結婚式で大阪のいいホテルに呼ばれたけど、あんなところの刺身は薄っぺらくて向こうが透けて見える、ちょっとずつちっぽけな皿を置いてはすぐに持っていく、もっとどんと出さんかい。こーんな小さな入れ物、ミルク入れかと思うたら、コーヒーだゆうて、あんなぽっちりかと驚いた、と。土佐の皿鉢料理は大きな皿に、ドドーンといろんなおいしいものが並べられて、それは豪華だものねえ。お刺身も分厚くて、新鮮でおいしいものねえ。運転手さん、わかるよわかるよ。

「かわらっこ」は本来はカヌーとキャンプの場所らしい。宮川大輔探検隊の色紙が貼ってあった。ギア付の自転車を借りて、地図ももらう。国道に行っちゃうと川と離れるから気をつけてね、とのこと。さあ、出発。

のどかな風景を走り、途中迷ったりしながら、三里の沈下橋に着く。沈下橋は生活道路でもあると言われていたので、邪魔にならないように橋の手前に自転車を止めて歩いて見物。

水がきれいだ。空が青い。夢みたいな景色だ。屋形船が静かに進んできて沈下橋の下を通り、ぐるりと戻っていく。屋形船、どこかで乗りたいね、と話し合う。

さて、先を目指そう。途中、雑草除去の為に代われているらしいヤギに出会う。わかるかな?

しばらく行くと、「蒼」という屋形船の店があるので、乗れるかどうか尋ねると、あと三十分後くらいだと言われる。じゃあ、また来ます、と走り出すと、結構どんどん下って行ってしまうので、戻るのを断念、さらに進むと「さこや」という店がある。さっき浮かんでいた船に「さこや」と書いてあったっけ。で、お店に尋ねると、そこは料理屋さんで、もう少し下流に屋形船があるので、今、電話で聞いてあげるね、と言ってくれる。11時半から乗れるよ、と言われたので、教えられた船着き場を目指す。昨日見た佐田の沈下橋のすぐ近くに、船着き場があった。猫が二匹いて、さっき突然現れた捨て猫らしいんだけど、うちの子にするつもりだ、と船頭さんが笑う。猫の目が病気みたいなので、奥さんが薬と餌を持ってきて、二人でかわいがっている。なんかいいね。

屋形船はこんな感じ。沈下橋を二つくぐって、また元に戻ります。川漁師でもある頭さんのガイドが楽しい。

四万十川はものすごく氾濫するけれど、そのおかげで川底の石がすべて洗われて、新鮮な苔が新しくつく。だから、それを食べる鮎がおいしい。川エビはたくさん獲れていたけれど、最近は減ってしまった。乱獲のせいもあるが、温暖化も影響している。台風が来ると船頭はみんな舟を守るのに必死になる。ついつい、船に夢中になるが、命が一番大事だと忘れないようにしなければならない・・・。水鳥も多くいる。ミサゴは英語でオスプレイと言って、ホバリングができるんです、と言われて、ああ、あの戦闘機ね、と思い出す。鵜が群れで狩りをすると、そのおこぼれをトンビがもらいに来る。アオサギは、日がな一日じーっと立って魚が来るのを待っているが、意外に魚を獲り逃がす、などなど。

アオサギがじっとたたずんでいるのが「かっこいい!」と言ったら、「あれが?カッコよくないすよ、魚とり、下手だもん、私の方がずっと上手。」と船頭さんが笑う。なるほどねー。

沈下橋を二つくぐって戻るに際し、櫓をこがせてくれるという。「櫓には資格、いらないんでね」ですって。救命胴衣を着けて船べりへ出る。

力でこぐんじゃなくて、体重移動でこぐので腕は疲れない、と船頭さんは言うけれど、ちょっとこいだだけで息が上がる。たいへんだあ。

四万十川で採れた青のりのかりんとうをお土産にいただいて、屋形船は終了。愉しかった、どうもありがとう。猫に見送られて、さっきの料理屋のさこやに行って、青のりうどんと川エビのてんぷらと鮎の塩焼きでお昼。どれもおいしいが、とりわけ鮎の塩焼きには感動する。

そこから先は、昨日とほぼ同じ道。最後に市街地にある幸徳秋水のお墓も見学。「橋のない川」は子供時代の愛読書、「こうとくしゅうすい、名はでんじろう」と何度も出てきたのを覚えている。ここの出身だったのね。というわけで、ホテルに帰って、本日は終了。いい運動になりました。

← 高知旅行記3 に戻る  高知旅行記5に続く →