M-1グランプリ

今年も、M-1グランプリの季節が近づいてきました。
・・と言って、通じる人がどれほど、このブログを読んでくださっているでしょうか。

M-1グランプリ。結成10年以内のお笑い芸人コンビ、グループが、その日一番おもろいヤツは誰かを競う賞レースです。2001年に始まって、今年は七年目。私は、第一回目から、見ています。賞金一千万円という額もすごいですが、これで優勝すると、無名だった芸人さんが、一気にスターダムににのし上がります。中川家、ますだおかだ、フットボールアワー、アンタッチャブル、ブラックマヨネーズ、チュートリアル。みんな、これの覇者です。

田村君の貧乏話がベストセラーになっている麒麟は、第一回目から、決勝戦に出続けています。初戦では、吉本の社員が「麒麟って、だれ?」と訪ねるほど、無名の存在でした。今では常連ですが、いつも、もう少しのところで、優勝を逃し続けています。実力さえあれば、無名でも、アマチュアでも、決勝に残れるし、一気に有名になれる。南海キャンディーズも、これの決勝で、初めて見ました。今でこそ、すっかり消費されてしまっている彼らですが、初めて見るしずちゃんのインパクトは、ただ事ではなかった。審査員の西川きよし師匠が「しずちゃん、僕とコンビを組んでください」と口走ってしまったのも、無理はないとさえ。

M-1に出るか出ないかは、芸人の苦渋の選択です。
ある程度の人気を得ていた品川庄司は、負けるのが嫌で、出場を控えていましたが、結成10年の壁が近づいたラスト二年間、必死の挑戦をしました。ラストイヤー、決勝戦出場が決まったときの品川の男泣きには驚きました。決勝では敗退しましたけど、気迫だけはものすごかったです。
一度グランプリを取ったフットボールアワーは、まだ出れるから、と再チャレンジをして、また、決勝に残りました。負けるデメリットをおしてでも、挑戦し続ける気合には驚きました。最後に負けましたけどね。

今年は、デビューしてあっという間に売れっ子になってしまったオリエンタルラジオのあえての挑戦に、注目が集まっています。周囲の反対を押し切っての出場です。負けて、実力がないことを暴露されたとしても、だからこそ、挑戦することに意義がある、というのが彼らの選択です。同じ意味で、レギュラー番組を多数持つキングコングの出場も、また、興味深い。

お笑いブームだとか言われますが。芸人って、甘いものではありません。ある年の、M-1決勝出場者を集めていろいろな質問をする番組で「昨年の年収は七十万以下だった」に半数がイエスと答えていたのには、驚きました。決勝に残るほどですから、実力は十分ある人たちでも、そんなものなのです。バイトして生活し、人に笑われて、顔だけは売れるから、街でいろんな人にいじられて、明日を生きる何の保証もなく、それでも、人を笑わせることに自分を賭けている人たちです。くだらない、と感じる人も多いでしょう。でも。

時間があったら、今年のM-1の決勝戦を、ぜひ、見てください。
人が真剣に、自分の全てをかけて、他者を笑わせることが、どんなにすごいことか。一年で、一番、本気で、闘う彼らを見て、笑いって、すごい、とほんの少しでも、わかってもらえたら、嬉しいです。笑ってください。きっと、笑えます。12月の、クリスマス頃、どこかのテレビで、やります。

私のごひいきは、千鳥、笑い飯、麒麟。みんな、常連です。今年は、この三組のどれかに優勝してほしい。と言っても、もっとおもろいヤツがいたら、そっちを応援しますけどね。
もう、予選はとっくに始まっています。目が離せません。

2007/11/16