100分de名著 谷川俊太郎詩集

100分de名著 谷川俊太郎詩集

105 若松英輔 NHK出版

「100分de名著」という番組がある。このブログでもボーヴォワール中井久夫の回を取り上げたことがある。谷川俊太郎の特集をやっている、と気がついたのは第二回放送の直前。というわけで、第一回目は見逃してしまった。講師は批評家、随想家、詩人の若松英輔。アナウンサー安部みちこの司会、俳優、昆夏美の詩の朗読、若松氏の解説に「何も知らない人」役の伊集院光が時々、個人的な感想を差し挟む。この感想が意外に良い。詩というのは、人によって読み取り方も解釈も全く違うし、それで良いものだ。彼は、よく聞き、よく考えたものにしか言えない言葉で語る。たとえそれが私自身の思いと違っていたとしても、なるほど!という発見や納得を導き出す。それが、詩に広がりを与えてくれる。

谷川俊太郎氏は、詩人としても、絵本作家としても、翻訳家としても、あるいは校歌の作詞家としても、私にはなじみ深い人であった。娘の小学校に講演に来てくださったことがあって、その打ち合わせにご自宅にお邪魔したこともある。その経験は一生の宝である。わかりやすい言葉で、でも、決して簡単にわからせてくれるわけではない、深い詩を、物語を、言葉をいつも与えてくれる人であった。また、一時期は私の大好きな作家、佐野洋子氏の夫でもあった。親戚のおじさんや、学校の先生とまではいわないけれど、どこかでいつも身近に大事なことを教えてくれたり、面白いこと、楽しいことをこっそり教えてくれるような存在であった。

番組を見終えて、テキストが欲しくなった。探したら、最後に残された一冊を書店で発見した。番組で紹介されたいくつかの詩が掲載されていて、もう一度彼の詩集を手に取って読みたいと思った。詩は、誰かに解説されるよりは、やはり自分の舌で転がし、目で味わって、感じ取るものだ。

谷川俊太郎は、大きな詩人であった。彼と同時代を生きられたことに感謝したい。