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「わが妄想」 モハメド・オマル・アブディン ポプラ社
高野秀行プロデュース。ひょんなことから日本に留学した盲目のスーダン人アブディンが、音声読み上げソフトを使って書いた本。オヤジギャクまで使える日本語の達人が日本語で書いた本だ。
盲目だというのに、この人の本はイキイキとした情景が浮かぶ。作者は、高野さんとタンデム自転車で、都内を疾走しちゃうような人なのだ。(もちろん、前の席に高野さんが乗っている。)福井の鍼灸学校から筑波大学を経て、東京外語大学の大学院で今は学んでいる。
なんと留学中だというのにスーダンに一時帰国した隙に結婚までして、今や二児の父だという。電話で話し込んだだけで結婚を決めちゃうって無謀だと思うんだけど、どっちにしても顔は見えないからおんなじだよ、って、そうか、そうなのか。
だらしないところやダメダメなところまで含めて、愛すべき人だな、と感じる。彼の人生に幸あれと素直に願いたい。
2013/6/6