渡辺恒雄 メディアと権力

渡辺恒雄 メディアと権力

2021年7月24日

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「渡辺恒雄 メディアと権力」 魚住昭 講談社

「ノンフィクション新世紀」で知ってさっそく図書館に予約した本。夫とかぶって予約していたので、一冊キャンセルしました。

権力ってなんなんだろう、とつくづく思う。最初は、もっと良い世の中に、もっと皆が幸せな社会に、と思っていたのかもしれない。けれど、ひとたび権力を握ってしまうと、誰もが大きなものを思うがままに動かせる魔力に取り憑かれる。自分だけが偉くて正しくて強くなければ我慢がならなくて、自分よりも偉くて正しくて強くなりそうなものを叩きのめすことにやっきになる。「絶対的権力は絶対的に腐敗する」って昔習ったなあ。

魚住さんはよくぞこの本を書けたものだと感心する。渡辺恒雄にもちゃんとインタビューして、対論も併記しているのだけれど、本人の述べる綺麗事の嘘がきちんと明らかになるように、裏付けをしっかりと取っている。

渡辺恒雄もひどいが、その前の社長の務台の権力にしがみつく様子も醜悪だ。その前の正力も凄まじい。読売新聞てすごいのね、と思ってしまう。それに擦り寄る政治家たちの姿も滑稽で哀れですらある。とりわけ中曽根氏はみっともない。

だとしても、これだけのノンフィクションが書かれようと、ナベツネの権力はかわらないのだなあ。

2013/5/17