おんなの女房

おんなの女房

124 蝉谷めぐ実 角川書店

武士の娘、志乃が、父の言いつけで歌舞伎の女形、燕弥に嫁ぐ。武家の女としてのたしなみを叩きこまれた嫁と、日常も女性として過ごす女形の夫。歌舞伎を知らない志乃は、演じる役柄によって人格まで変わる夫に翻弄される。が、ほかの役者の嫁と関わる中で、次第に芝居、役者というものに目覚めていく。なぜ、武士である父が、娘の志乃を河原乞食と呼ばれる役者に嫁がせたのか、二人は夫婦としてどうなっていくのか。

意外なエンディングにあっけにとられる。なるほど、これは実は歌舞伎を舞台とした「推し」ストーリーなのだな、と思い至る。武士の娘であること、女であること、歌舞伎ファンであること。様々な自分と出会いながら、自分の立ち位置を決めていく志乃の成長物語とも、あるいは言えるのかもしれない。