女は太もも

女は太もも

35 田辺聖子 文春文庫

週刊文春連載エッセイを集めた本らしい。週刊文春の連載ってけっこうおもしろいものが多くて、椎名誠とか、小林信彦とか、好きだったなあ。田辺さんも、かつては連載されていたのか。

1971年から1977年まで。確かに、古い。男がまだ威張っていて、女は男のおもちゃだった時代が垣間見える。おせいさんは、そんな中で、女の本音を頑張って書いているのだけれど、それでもやっぱり古い。というか、古い男たちに噛んで含めるように書くために、そっちに近づいていってしまってる、ということなのかもしれない。

ただ、性的なことをたくさん書いてるのに、全然下品じゃないのはさすがである。ほんのり温かく、柔らかく優しく書いている。無神経な男に、あんたたち分かっとらんね、とさらっと笑って書いている。逆に言うと、今ならこんな温かみなんてなくてもストレートにみんな書いているようなことを、男たちをぎょっとさせず、逃げ出さないで読めるように教えてあげている、ように感じられる。

男が甘やかされていた時代のエッセイだな、と思う。もちろん、おせいさんは素晴らしいけれど。