センセイの書斎

センセイの書斎

2021年7月24日

46
「センセイの書斎イラストルポ「本」のある仕事場」内澤旬子 河出文庫

「身体のいいなり」の内澤旬子が2006年に出した本の文庫化。本棚のある部屋を上から見た俯瞰図が細かくて興味深い。が、老眼の混じる目には、ハードカバー版のほうがありがたかったのかも。このイラストは、昔好きで読んでいた妹尾河童の「河童が覗いた」シリーズを思い出させる。

三十一人のそうそうたるメンバーの書斎を尋ね、本棚をイラストでルポしたのがこの本である。幾つかの雑誌での連載をまとめて単行本化したので、最も古いルポは1999年のものになる。中には、米原万里さん、石井桃子さんのようにお亡くなりになった方々や、「月の輪書林」のように閉店してしまった店もある。そうした方々やお店のルポを読むと、何かしみじみと懐かしく愛おしい気持ちになる。

書斎や本棚は、その人のあり方を見せる。あくまでも整然と並べる人、何となくどこに何があるか分かる人、そして、もう、なんだかよくわからなくなっている人(うちはこれだ。といっても、数年後との引越しを事情として加味したいけれど)などいろいろ。それぞれに、「らしいなあ」と思ったり、お、この人が?意外!と思ったり。南伸坊さんの几帳面な本棚が興味深かった。

こういう本を読むにつけても、いつの日か、どこに何があるかわかる、すべての本の背表紙が見える本棚のある書斎をいつの日か持ってみたいものだと思う。そんな日、来るかなあ。

2012/6/10