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「インストール」 綿矢りさ 河出書房新社
2001年出版。って、もう10年以上前なのね。時が経つのって、早い。
女子高校生が書いた小説が大きな賞を取った、ということは知っていた。でも、あんまり興味がわかなかった。だって、高校生くらいの子が書きそうなこと、だいたいわかっちゃう、っておばさんは思ってしまうから。
そんな偏見で、手を出していなかったのに、これまた、中学の図書館を、図書ボラとしてうろついていて、ふと手にとってしまった。借りてきてからも、ずっと積んだままだったけれど、たまたま、短い時間、電車に乗るのにちょうどいい本が必要になって持って行ったら、往復で読みきれた。
なるほど、おばさんが思った通り、自意識が過剰になっている高校生の、この世との折り合いの付け方がわからないイライラが書かれている。ほーらね、と思うのだが、このお嬢さん、なかなかお上手で、ちゃんと引っ張ってくれる。途中で飽きないのはさすが。と言っても、中身はチャットレディの話だったりして、10年経つと内容も少し古びてしまっている。その頃に読んだらもっと刺激的であっただろう事柄が、割と当たり前の世界になっちゃってるからね。それはそれで、なんだかなあ、とは思うけれど。
まあ、それにしても、いろいろあっても、とても素直な、最終的に前向きな小説ではあるのだよね。この人は、これを出発点に、いろんなことを経験して、いつかはもっともっとすごいものが書けるようになるのかもしれないなあ、と思った。今、何を書いているのか、ちょっと読んでみようかな、とも思った。
2012/5/30