遠い町から来た話

遠い町から来た話

2021年7月24日

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「遠い町から来た話」 ショーン・タン 河出書房新社

「アライバル」がとても良かったので、他の本も読んでみようとリクエストした本。これは、短編がいくつか納められていて、「アライバル」とはまた違ったテイストで、楽しめました。

翻訳は岸本佐知子さんです。すごく上手な、良い翻訳です。

表紙絵は、かつてオーストラリアで働いていた日本人の潜水夫。昔、日本人が大勢、オーストラリアで潜水夫として働いていたんだよ、という話を、そういえば最近どこかで読んだなあ、と思い返してみたら、そうでした、「オーストラリアで大の字」でした。あの頃は、減圧室などというものはなく、潜水夫たちは大勢、潜水病でばたばたと亡くなっていったんだそうです。そんな潜水夫が、この本にも出てくるのです。

私が一番好きだったのは、留学生のエリックの話かな。異種間交流とでもいうのでしょうか。互いに違うことを認め合って、愛情が通い合うのって、ほんとうに素敵。心が温かくなりました。

図書館で見かけたら、ぜひ、手にとって見てください。不思議な絵本です。

2012/3/16