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「寝る前に読む一句、二句」夏井いつき ローゼン千津 ワニブックス
ローゼン千津って誰だよ、と思っったら、なんと夏井先生の妹。長く海外に住み、チェロ奏者のニックと再婚したのでローゼンさんなのね。それにしても夏井先生、本が売れるからって妹と対談しちゃうなんてちょっと安易すぎませんかね？と怪しみながら読んだら、このローゼンさん、なかなか使えるじゃないの。いい味出してます。さすが夏井一族。
ローゼンさんも、いつき組の俳人。知識も豊富、センスもある。二人で好きな俳句を出し合ってなかなか鋭い考察をし合っている。なかなか楽しい。それにしても、姉妹でこんなふうに知的な会話を丁々発止と楽しめるのって本当に羨ましい。互いに尊重しあっている感じも含めてね。
笑ひ茸食べて笑ってみたきかな 鈴木真砂女
胡桃割る胡桃の中に使はぬ部屋 鷹羽狩行
それは少し無理空蝉に入るのは 正木ゆう子
気に入った句はいくつもあったが上記三句は特に好き。
それから、
怒りや憤りを俳句で吐き出すと、血が濁らないですむ。散文や会話で吐き出すと血が濁る。悲しみや痛みを俳句で吐き出すと、その俳句がやがて己の心を癒やしてくれる。
という夏井先生の言葉に、はっと胸打たれるものがあった。義母は俳句を読む人であったが、そういえば人の悪口や愚痴など言わぬ人であった。
（引用は「寝る前に読む一句、二句」より）
2018/6/4