イスラム飲酒紀行

イスラム飲酒紀行

2021年7月24日

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「イスラム飲酒紀行」高野秀行 写真森清 扶桑社

「私は酒飲みである。休肝日はまだない。」(「イスラム飲酒紀行」より引用)で始まる文章が多い。高野さんたら、自分じゃ否定してるけど、これ、アルコール依存症だからねっ!

イスラムの教えは酒を否定している。毎晩酒を飲まずにいられないアル中患者は、イスラム国家に行くにあたって、とにかく、毎晩のアルコールを確保するのに必死である。そして、どんな場所でも、たいていは、アルコールはあり、酒飲みはいるものである。それが罪とされていても、飲む奴は、飲むんである。

パキスタンじゃ、医者が証明書を書くらしい。「この病気にはアルコールが必要である」と。その証明書を持って、酒屋へ行くと、買えるのだ。これって、アルコールのドクターストップの逆で、ドクターゴーだ、と高野氏は笑う。笑いながら、証明書のおこぼれにあずかって、ちゃんと飲むのである。

トルコはイスラム国家なのに、アルコールは大手を振って飲める。政教分離がなされているからである・・のだが、実は、建国の父アタテュルクは、アル中だった模様である。酒が飲みたくて、政教分離したんじゃないか、と高野氏は推理するのである。(トルコでは「アタテュルク侮辱禁止法」という法律があって、アタテュルクに対してネガティブな意見をいうことが禁じられているため、この事実はあまり知られていないのだ!)

そんなこんなで、高野さん、カタールで、パキスタンで、アフガニスタンで、チュニジアで、イランで、マレーシアで、シリアで、ソマリランドで、バングラディシュで、苦労しながら、必ず酒を飲んでいるのだ。ご苦労なことです。依存症、治療したほうがいいと思うけど・・・?

2011/8/2