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「生きる悪知恵正しくないけど役に立つ60のヒント」西原理恵子 文藝春秋
私はサイバラがまだ世の中に全く知られていない頃からハラハラしつつ読んでいた。若くて怖いもの知らずで麻雀で負け続け、雀荘を経営する変な親父に絡め取られているようなお姉ちゃんだった彼女が、恨ミシュランで世に出、結婚して子どもを産んで破綻して元夫を見送って穏やかな生活に戻り新恋人ができるまで、ずっとずっと読んできた。
大物になったね。基本的な姿勢は変わっていないのだろうけれど。彼女の変遷を見ながら、ずっといろいろなことを考えてきたなあ、と思う。
人間はウソついたっていい、と言い切っているのが、きっとこの人のいいところだ。なかなか言えないよ、公には。
それにしても寄せられる相談の中味が情けないものばかりで読む気にならん、と夫がうんざりした顔で言っていた。私もほぼ同感だ。時々、有名な人も相談を寄せていて、その中ではしりあがり寿さんの相談と、それに対する回答が実に秀逸だった。なんだったら、その部分だけ書店で立ち読むことをおすすめしたい。
一番最後の角田光代の相談に対して
どんなに気をつけても作家はみんな中島らもになっちゃうんです。
と回答がなされていて、なんだか複雑な気持ちになってしまった。
やっぱり中島らもになっちゃいけないよ、と私は思うからね。
(引用は「生きる悪知恵」西原理恵子 より)
2013/2/12