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「ネギをうえた人 朝鮮民話選」金素雲 編 岩波少年文庫
これまた、「本へのとびら」に触発されて読んだ本。
宮崎さんは、こんなふうに紹介している。
となりの国、韓国の民話をあつめた本です。34のお話の中でも、本の題になっている、ネギをうえた人のお話は忘れることができません。
あなたはネギを好きですか?
ぼくは大好きです。(「本へのとびら」宮崎駿 より引用)
ネギが風邪予防にいいと聞いてから、毎日たっぷりとネギを食べている。素焼きにして、焦げた皮を剥くと、中のおいしいことといったら!これは、余談ではありますが。
宮崎さんの勧めた、ネギをうえた人の話はとても短いけれど、なるほど、心に残る。このおはなしを忘れることができない宮崎さんを、信頼できる人だなあ、とも同時に思う。
人間が、ちゃんと人間に見えること。だから、決して踏みにじったりしないこと。そのために、誰にも気付かれず、覚えてももらっていない、貴重な存在があったこと。
すごく大切なことが、短いお話の中に凝縮されている。これを読んで、すぐに何かを教訓として受け取ることがなくても、体の中に温かいものがしみこんで、読んだ人に滋養を与えてくれる。そんなお話だ。
韓国の民話だけれど、グリムみたいなお話もあったし、日本にも同じような昔話が伝わっているし。住む場所は違っても、人はみな、同じような物語を抱いて生きているのだなあ、と改めて思う。
2012/1/28