表参道のヤッコさん

表参道のヤッコさん

2021年7月24日

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「表参道のヤッコさん」 高橋靖子 アスペクト

日本で初めてのスタイリストの半生を綴った本。ヤッコさんはエネルギッシュで気配り上手でセンスよく生き生きと仕事に生きている。時々、チラチラと一人息子の姿もかいま見えて、愛情を十分に注いでいるのもわかるけど。

T・レックス、デヴィッド・ボウイ、キャロルにユージン・スミス、山本寛斎、YMO、清志郎に浅井慎平、糸井重里。煌めく人々が、仕事仲間として登場する。いや、かっこいいっす。

70年代の原宿を中心に、ニューヨークやロンドンも舞台になる。ニューヨークやロンドンは知らないけれど、原宿なら知っている。70年代後半、私は原宿周辺をうろつく高校生だったから。懐かしい光景が、読んでいて目の前に広がっていった。

女性が子どもを育てながら第一線で働くのがとても大変だったはずの時代なのに、楽しそうで、やりがいがあって、素敵な毎日だったみたいにしか読めない。本当は、もっと苦労がたくさんあっただろうに、そんなことはもうすっ飛ばしちゃっているんだろうな。そこがまた、すごい。

ファッションとか流行とかセンスとか。そういうものから程遠く、役に立つもの、実用的なものばかり好む私ではあるが、ヤッコさんはかっこいい、と思う。でも、憧れてもヤッコさんみたいになれる人って、なかなかいないよね。

2013/2/16