隠蔽捜査

隠蔽捜査

2021年7月24日

「隠蔽捜査」「「果断」「疑心」 今野敏 新潮社

 

「隠蔽捜査」は芳川英治文学新人賞受賞作。
「果断」「疑心」は、その第二巻、第三巻です。
実は、作者の名前すら知らなかった。
夫からのお勧めで読みました。

主人公は、警察官僚、いわゆるキャリアですね。
エリート意識の塊で、大学は東大じゃなきゃダメだし、家庭のことは妻に任せて省みないし、友達はいなくて、同僚も上司も部下も明日の敵だと思ってるし、すっげー嫌な奴。
と、思って読んでるんだけど、だんだん、ちょっと許せて、好きになっていく・・まあ、本人も、変わるんだけど。成長するんだけど。

「戦略は、正直。」という言葉をどこかで聞きかじって、以来、そうだよなあ、と半ば本気で自分の戦略にしている私だけど、この本も、そういうスタンスのようです。

面白かったので、続けて、二巻、三巻に手を出したら、あっという間の一気読みでした。
二巻では、立てこもり人質事件を、三巻では大統領暗殺テロ未遂事件を、見事に解決する主人公、竜崎。
でも、事件だけじゃないのよ。
三巻を読んで、気がつきました。
作者は、唐変木の中年親父を使って、成長物語を本気で書いてたんだ、って。
笑っちゃいました。
シチュエーションと、登場人物の年齢を変えたら、まんま、青春物語だわ。

それにしても。
実は、一巻、二巻が、壮大な前振りでもあったわけです。
竜崎の人となりが、十分理解できるためにも、順を追って読んだ方が楽しい。
びっくりします。

夫は、先に三巻を読んで、面白かったから、一巻二巻を読んだんですって。
そりゃあ、損したなあ。

2009/10/23