北欧の挿絵とおとぎ話の世界

北欧の挿絵とおとぎ話の世界

2021年7月24日

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「北欧の挿絵とおとぎ話の世界」開設・監修 海野弘

パイ インターナショナル

 

厚くて重くて美しい色刷りがたくさん。だから、高価。こういう本は、図書館様にお頼り申し上げるのが一番だ。
 
北欧が好きである。敬愛するリンドグレーンがスウェーデンの人だということもあるし、ムーミンのトーベ・ヤンソンがフィンランド人だということもあるし、アンデルセンがデンマーク人だということもある。それだけじゃなく、北欧の奥深い美しさ、静けさ、デザイン性の素晴らしさに惹かれるものがある。
 
この本は、北欧の神話やおとぎ話を紹介しながら、カイ・ニールセン、グスターヴ・ヒョウルトルンド、カール・ラーション、テオドール・セヴェリン・キッテルセン、エルサ・ベスコフ、ヨン・バウエル、ルドルフ・コイヴ、グスタフ・テングレン、トーベ・ヤンソンらの挿絵を数多く載せている。どれもが美しく、時に不気味で、でも、面白い。物語性のある絵の楽しみがたっぷり味わえる。
 
思い出したのだが、幼少期、私は小さなアンデルセン童話集を持っていた。「おやゆび姫」、「赤い靴」は間違いなく入っていた。後は何だったかな。その本の影絵のような挿絵が好きだった。雰囲気としてはグスターヴ・ヒョウルトルンドに近かったかも。物語を読んでは繰り返し繰り返し、挿絵を眺めていたものだ。
 
エルサ・ベスコフの絵はやっぱりいいなあ。キャベツの擬人化など、驚くほど見事だ。八百屋やスーパーで、いきなりキャベツが夫人になってひょっと立ち上がりそうな気さえする。
 
北欧の挿絵に実は浮世絵の影響が結構あるのにも驚く。ジャポニズムが流行っていたというけれど、波の表現や、木々、遠景などの描写に日本的なものが多く感じられる。竹久夢二みたいなテイストもあって、これは一体どちらがどちらを真似したのか?と不思議になる。面白いなあ。いつまでも眺めていたい。
 
 

2021/3/3