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「週末、森で」 益田ミリ 幻冬舎
図書館にて発見。
翻訳の仕事をしている早川さんは、都会から森へ移住。週末になると、出版社で経理をしているマユミちゃんや旅行社にいるせっちゃんが遊びに来ます。
みんな35歳、独身です。
遊びに来る時のおみやげは、小川軒のレーズンウィッチだったり、千疋屋のフルーツサンドだったり。
いわゆる都会じゃないと手に入らないおいしいものなんですな。
早川さんは、いつも「わかってらっしゃる。」と言いながら、受け取ります。
田舎暮らしと言いながら、畑をするでもなく、スローライフ目指すわけでもなく、着付けの講師や家庭教師など、いろいろな仕事に手を出したりしています。
そもそも、田舎暮らしを始めたきっかけは、読者プレゼントでハイブリッドカーが当たったのに、都会だと駐車料金が高すぎる、それだけだったのです。
別に特別なことがあるわけでもなく、三人は、それぞれに仕事をし、たまに週末、田舎で集まって森を歩いたりします。
ただそれだけなんですが、たまにやけに心に響く会話がかわされます。
大人になるとなんでも分かるようになるって思ってなかった?
けど、知らないことなんか山のようにあるんだよね
なんかさ、知らない世界がいっぱいあるんだってことをわかるために大人になった気がするよあたしたち、子供も生んだことないしね~
知らないままかもしれないし
(中略)
マユミの木に実がなってる
ほら、これマユミって木なの
いつもここ通るときまゆみちゃんのこと思い出してたんだよ
実ったね、マユミちゃんあたしひとつわかった
子供がいなくても友は必要だね
私には子どもも夫もいるけれど、友は必要だな~、と思う。
一年に一度、いや二、三年に一度しか逢えないような友達が私には何人かいて、でも、彼女たちは、私が困ったとき、苦しい時、必ず支えてくれる。わかってくれる。と、信じていられる。
そういう存在がある、という豊かさが、私を支えてくれるように、それと同じように、週末の森はあるのかもしれない。
2011/9/22