日本会議を勉強してみた

日本会議を勉強してみた

2021年7月24日

「日本会議の研究」菅野完 扶桑社新書

 

「日本会議の正体」青木理 平凡社新書 

無能なトップの無策のせいで、日々、鬱屈する今日このごろである。家で優雅にお茶飲んで犬なでている人(笑)もいるらしいが、こっちは図書館が閉まってがっかりなのである。
 
なんだかよく知らないけれど、きな臭そうな団体について、この際、勉強してみようと関連本を手に入れた。どちらも2016年に相次いで出版された本である。「研究」が少し早かったのかな。
 
「日本会議」とは、1997年に有力な右派団体として知られていた二つの組織「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」が合流してできた団体である。「国民会議」の方は、元号法制化運動に取り組んだ団体が発展改組されたものであり、「日本を守る会」は生長の家を源流としているらしい。「研究」の方は、生長の家からの源流について、「正体」の方は右派政治家と宗教団体のつながりについて、より深く掘り下げているように思う。
 
私が意外だったのは、日本会議の源流に、実は60年代安保闘争における右派学生運動がある、ということであった。当時大暴れしていた左派は、その後、内ゲバや、テロ活動などに走り、自滅していったが、右派は当時からずっと密かに活動を繰り広げ、宗教活動などとも結びついて、二世、三世がその活動を引き継ぎさえしていた、というのは驚きであった。彼らの結びついた「生長の家」がお世継ぎ問題から政治的活動を離れ、行き場を失って日本会議にまで流れ着いたという経緯も、非常に興味深いものであった。
 
日本会議に参加する宗教団体は、明治維新以後に成立したいわゆる新宗教が多く、相対立するような団体が共存する一方で、天台宗や延暦寺など由緒正しい宗教団体も肩を並べている。驚くべきことである。宗教は、豊富な資金源を持つ。明治神宮など、座して待っているだけで、大量のお金を人々が放り投げてくれるからね。
 
彼らの願いは改憲であり、家族制度の護持である。改憲と言っても、旧生長の家派には、「明治憲法の回元」が最終目標であって、現憲法の改憲なんてとんでもない、という人もいるらしい。改憲じゃだめだろ、とお怒り遊ばすらしい。夫婦別姓なんて許したら、革命が起こって天皇制がなくなる、ということらしい。
 
そんな悲願の改憲を目指して作られた、彼らにとって理想の内閣が安倍政権である、というわけだ。だから、改憲に向かって猛進はするけれど、それ以外の政策となるとさっぱり、とりわけコロナ対策など、誰もなんの助言もしないのだろう。自分で物を考え、判断するということがそもそも苦手な人間を据えてしまった結果として、こんな情けない現在に至っている、ということがしみじみわかってしまった。
 
こんな記事を書くと、攻撃的なコメントが付くんじゃないかと、正直、恐ろしい。まあ、でも、二冊の本を読んで、わかったことを書いてみた、というわけ。

2020/4/13