奇跡のリンゴ

奇跡のリンゴ

2021年7月24日

「奇跡のリンゴ「絶対不可能」を覆した農家木村秋則の記録」
石川拓治 著 NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」製作班 監修

夫に「これは面白かったよ」と夜、渡されて、ぱらぱらと眺めたはずが、そのまま、一気に読み通してしまいました。

白金台のレストランの看板メニュー「木村さんのりんごのスープ」のりんごです。農薬も肥料も使わずにたわわにリンゴを実らせるのが、木村秋則さんです。絶対不可能と言われた無農薬、無肥料のリンゴ栽培を成功させるまでの壮絶な闘いが、この本には記されています。そこにあるのは、木村さんのひたむきな姿勢、強い信念と、自然への確かな愛情です。

この人は、すごい人です。
こういう人を偉人を呼ぶべきなのかもしれない。
ただの、農家のおっちゃんです。
その凄さを認知できることの喜びを、私はこの本から受け取りました。

木村さんが農薬を放棄するきっかけとなった福岡正信さんのことは、ずいぶん前から知っていました。彼の農法の本を、夫から紹介されて、読んでいたからです。
土地をろくに耕しもせず、雑草もろくに抜かず、わらを撒き、無農薬で多くの美味なる収穫を得る彼の農法は、「そんなバカな」「本当であるはずがない」と思わせるようなものでしたが、しかし、確かにそれはあるのでした。
その本が出てから、もう十数年経ちます。
彼に学んだ農家はどれだけいるのでしょう。農業は、どう変わっていくのでしょう。
福岡さんは、単なる変わり者として、もう、歴史の隅っこに捨てられてしまったのかな、と思ったりもしていました。

けれど、こうやって、彼から大きなものを受け取って、何年も何年もかけて苦しみながら、大いなるものを掴んだ人が、確かにいたのです。

感動しました。

2009/11/12