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「あなたを選んでくれるもの」ミランダ・ジュライ 新潮社
ミランダ・ジュライが何者か全然知らなかった。作家で女優で映画監督でミュージシャンでパフォーマンスアーティストだって。カンヌ国際映画祭でカメラ・ドールを受賞してるらしい。才女なんだなあ。でも、私はそんなこと何も知らずに、ただ、大好きな岸本佐知子さんが翻訳しているというだけで読んでしまった。面白かった。
映画の脚本家気に行き詰まって、どうしてそうなったのか、フリーペーパーに売買広告を出している人に話を聞きに行くことにした作者。ネットオークションの紙版だと思えばいい。いまどきフリーペーパーに広告を出すくらいだから、その人達はネットとは無関係に生きている。それが、ミランダにとっては結構重要なポイントだったりもするみたいだ。
たしかにそこで会いに行った人たちは、どこか浮世離れしているし、ものすごく個性的で、ちょっと危なかったりもする。一人ひとりに深いドラマが埋もれている。ミランダは、彼らと会い、話をする中でそれぞれに何かつかむものがあり、最終的に、それが新しい映画の契機となる。映画に一番役立ってくれた男性に関するエンディングはかなり衝撃的だ。
ミランダ・ジュライって、結構いいやつだ。映画も見てみようかな、と思った。
2016/2/17