小さな大世界史

小さな大世界史

2021年7月24日

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「小さな大世界史」ジェフリー・ブレイニー ミネルヴァ書房

以前にも書いたように、一年半ほどかけて世界史を勉強した。それから「教養としての「世界史」の読み方」「大世界史 現代を生きぬく最強の教科書」「銃・病原菌・鉄などの本を読みついで、次はこれである。

この本は、オーストラリアの歴史家がコンパクトにまとめた世界史である。細かい出来事や、著名な人物を描くことはかなり省略され、どのように人びとが拡散し、生活し、創り出し、戦ったのか、人類の大きな流れが描き出されている。人の名前は覚えられなくても、何がどのように変わっていったかは掴み取ることができる、という意味では、忘れっぽいおばちゃんにも理解しやすい歴史書であった。

世界史は、どうしてもヨーロッパ史が中心になってしまいがちだが、著者がオーストラリア人だということもあるのだろうか、偏りのない公平な視点で描かれている点も興味深かった。

結局、人は理想のために生きるのではなく、都合のために生きるのだ、と読みながら思った。ただ、多くの人の都合の良さを追い求めると、それが理想に近づいていく。それだけのことなのだなあ、と改めて思う。人間はそんなに高潔ではない。けれど、やっぱり愛があるし協力があるから、人は生きているのだとも思う。私は理想的に生きる人間ではないけれど、歴史に学ぶ者ではありたい、と思った。

2017/12/29