その後のツレがうつになりまして。

その後のツレがうつになりまして。

2021年7月24日

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「その後のツレがうつになりまして。」細川貂々 幻冬舎文庫

「ツレがうつになりまして。」の続編である。最初は続編を出したくないと思っていたそうだ。第二弾を出すともしかして第三弾も出て、ツレの病気は永遠に治らないのでは・・と不安だったそうだ。でも、薬の服用が終わり、ツレが社会復帰をしていく様子を見て、「うつ病はちゃんと治る」ことを書かなくてはいけない、と思うに至ったという。

この本は、前の本では書けなかった病状のことや、「ツレうつ」本を出すまでの過程、そしてそれを追いながら、うつという病がどんなものか、本人や周囲の人間はどうしたらいいのか、をわかりやすく書いている。

最初は、こんな重い本は誰も読まないだろう、とか、ツレの症状は連れ独特のものであって、共感を呼ばないだろう、と作者もツレも思っていたという。実際、企画が重すぎるという理由であちこちの出版社で却下されていたらしい。ところが、出版されると、多くの感想が寄せられ、自分もそうだった、という声が届き、よくこの本をだしてくれた、とさえ言われたという。ツレ自身も「自分だけじゃなかった・・・」と大いなる勇気を得た。確かにこの本はうつという病気について語るきっかけになったり、みんなが理解するよすがとなるものであった。

病気は苦しかったけれど、それを経て、ツレは、より自然に、楽に生きられるようになったという。細川貂々も、しっかりしてきた、愚痴を言わなくなった、明るくなった、などと成長できたような気がしているという。

どんな経験も、そこから学ぶことができる。また、そうできることが、生きる力なのだと思った。読んでよかった。

2017/6/21