ツレがうつになりまして。

ツレがうつになりまして。

2021年7月24日

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「ツレがうつになりまして。」細川貂々 幻冬舎文庫

 

最近は夫の勤め先にもうつ患者が増えているらしい。メンタルが強そうな、ラストパーソンと思われるような人が思いがけなくうつにかかったりしているらしい。主婦も案外多いよなあ。子育てで自信を失うことがきっかけで鬱になった人もいるしなあ。心の風邪と言うけれど、どんな人でも、誰でもなっちゃうかもしれないのが、うつ病ということだ。
 
この本はなんと映画にもなっているらしい。宮崎あおいと堺雅人ですと?全然知らなかった私って・・・。
 
作者は漫画家で、夫はバリバリ働くスーパーサラリーマンだったのに、激務が続いて仕事が嫌になり、失敗ばかりするようになり、眠れなくなり、そしてある日、「死にたい」と言い出した。うつの発病である。
 
朝、ゴミを出しながら、自分はこのゴミより価値のない人間だからここでゴミと一緒にしゃがんでいようかな・・と思ったりする。医者で薬をもらったのに飲む量を間違えていて副作用で苦しむ。薬すら管理できない自分ってどうしちゃったんだろう、とますます落ち込む。朝どうしても起きられなくて、グーで自分の顔を何度も殴って起きる。
 
うつって辛い。全然他人事じゃない。私も自分が何の価値もない人間のような気がして、ご飯が食べられなくなって、辛くてならない時期を経験したことがある。脱するのにずいぶん時間がかかった。あれはうつだったのかなあ。
 
でも。作者のツレは、ダラダラしようとすると、世間様に申し訳ない、と思ってしまって昼寝ができなくて苦しんだという。私はダラダラできちゃう。って、自慢してどうする、なのだが。ただ、何もしていない自分が情けなくて悲しくなる気持ちは知っているぞ。それがどんどん続いていくと、うつという病気になっちゃうんだなあ。その地続きのところに私たちは生きていて、いつだって、そちらへ傾いていくことはありうるんだ。
 
励ましたり、ダメ出ししたりしないで、そのまんま、今の状態を受け入れて、許して行きていくところからもう一度始めるのが大事なんだろうな、と思う。私も、あなたも、みんなも、そうなるかもしれないから、そういう時が来たら、なんとか受け入れて行くしかないのだな、とぼんやりと思う。頑張ろう、なんて思わないほうがいいみたいだし。
 
 

 

 

2017/6/19