青森旅行記4 二日目(その3)

青森旅行記4 二日目(その3)

2021年7月24日

さて、金木を出て、次は五所川原に向かいます。車中で、金木から見える岩木山は華奢な女性が十二単をまとったような美しい姿だと太宰治が言ったという話を聞きます。青森の人はみんな、自分の住んでいる場所から見る岩木山が一番きれいだと言いたがるものだそうで。郷土愛だなあ。

さて、五所川原の立佞武多(たちねぷた)の館に到着です。立佞武多の館は,あたりと比べてひときわ大きな背の高い建物です。中に入ると、おお、圧倒されるほど大きな立佞武多が出迎えてくれます。エレベーターに乗って上階へ。ぐるぐると壁際にスロープがつけられているので、何階だけかよくわかりません。最上階で降りると立佞武多が目の前にあります。手すり越しに下を見下ろすと、なんと高い。

立佞武多は高さ約23m、重さ約19トンの巨大な山車です。夏まつりには大勢でこれをひいて街を練り歩きます。引っかからないように、立佞武多が通る道は電線を地下に埋め込んだという力の入りようです。大正時代に電線が通ってからねぷたが小さくなり、また、戦後の大火で設計図や写真が消失したため、立佞武多も姿を消していたそうです。平成十年に80年ぶりに復刻してからは、毎年新しいねぷたを制作して、三体が立佞武多の館に保存公開されているそうです。

写真ではこの迫力をうまく伝えきれないのが本当に残念です。ガイドさんが丁寧にねぷたについて説明してくださいます。運転手さんも隣で熱心に補足説明してくださる。

スロープをぐるぐる回りながら下へ降りていきます。近づくとさらに迫力が増し、なんてかっこいい!!と感動します。

歌舞伎の題材や史実などを元に、毎年色々なテーマでねぷたは作られます。このねぷたは出雲の阿国。女性が初めてねぷたの主人公になったんだそうです。これが動いたらどんなに勇壮だろう、と想像するだけで楽しくなりました。本当はねぷた祭りにも来たいけれど、宿をとるのは至難の業のようです。

これで今日の観光はほぼ終わりです。ここから嶽温泉の今日の宿まで送ってもらいます。車窓からは津軽平野の広がりが見えます。どこまでもどこまでもずーっと田んぼが広がっていて、津軽平野って広いんだなあと思います。緑が深く、水が豊かで、青森って素敵なところです。

昔、北前船といって航路は日本海側でした。その頃は、弘前に荷物は流れたものだそうです。でも、江戸幕府の時代になって、江戸側から船で来て津軽海峡を越えるのが大変なため、太平洋側に積荷を下ろすようになった。そこでできたのが青森港だそうです。まだ灯台もなければ港の設備もない、なんにもないときに、青い森目指して船が入港していったのだそうです。だから青森というんですって。本当に、この地の森の青さは深く美しい。

昨日見学した三内丸山遺跡や青森港のあたりを車が通りかかります。青森港にはいま、豪華客船が停泊中だそうですよ、と運転手さん。そういえば、昨日、新青森駅からフェリー乗り場までバスに乗った老夫婦、ああ、あのご夫婦は豪華客船の乗客だったのかもしれません。

なんて言っているうちに、疲れてぐっすり眠ってしまい、気がついたら嶽温泉に到着していました。運転手さん、どうもありがとうございました。とても楽しい観光でした。

嶽温泉「山のホテル」は静かな宿です。静かすぎると思ったら、どうやら客は我々だけみたい。通された部屋の窓から庭が見えるのですが、なんと雪が残っているのには驚きます。

温泉は乳白色のとろりとした硫黄泉。気持ちがいいったらありません。風呂上がりには、リンゴ酢の飲み物をご自由にどうぞ、とおいてあります。おいしい、おいしい。

夕食は名物の「マタギ飯」を始めとする山の幸が中心。別注文で鹿肉の串焼きも食べました。ああ、おいしかった。部屋に戻って、早々と寝ます。まだ九時台だったかも。疲れちゃったから、おやすみなさい。

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2017/6/2