青森旅行記3 二日目(その2)

青森旅行記3 二日目(その2)

2021年7月24日

十三湖を出て、今度は金木方面を目指します。太宰治の故郷。吉幾三もそのあたりの出身だそうです。本当に「なんにもねえ」ところですよ、と運転手さんが笑います。途中、美しい滝を車窓から眺めます。水流フェチの私には大ご馳走です。七段になっているので、七つ滝というそうです。

かなり長い間走って、金木の斜陽館に到着。太宰治の生まれた屋敷が人手に渡って「斜陽館」という旅館になり、その後、旅館が廃業となって町が譲り受け、太宰治記念館となった場所です。古いけれど、とても立派な建物です。

学生時代、先輩がここに泊まってとても良かったと聞いて以来、一度は来たいと思っていたところです。旅館じゃなくなって泊まれなくなってしまったけれど、町が大事に保存してくれてよかった。

太宰はものすごいお金持ちの息子だったんですね。蔵がたくさん建っていて、室内も使用人の間と家族の間、主人と跡取りの間には段差がもうけてあります。それが身分差なのね。太宰の生母は父親と東京で暮らしていて、太宰はばあやと母の妹に育てられたそうです。使用人の間で食事するほうが気楽だったみたい。小学校に上がる頃にはばあやも叔母も家を出て、厳しい祖母に育てられたと言うから、寂しくてかまってほしくて、そんな感情が大人になっても残り続けてあんなことになったのかもしれません。

金襖の間は特別なお客様しか通さない場所。仏壇も贅を尽くしています。

女にだらしなくて、あんなダメな男だったのにね、なんて夫と話しながら見学していたんですが、地元の人達は太宰治をとても大事に思っているのですね。ちょっと失礼だったかもしれません。ごめんなさい。

記念館ではガイドさんがつききりで親切に詳しくお話してくださいました。その後、すぐお向かいにある津軽三味線記念館に入り、津軽三味線の演奏を聞きました。昨日とはまた違った趣の音色です。

その後、運転手さんが車を走らせながら津軽三味線の系譜について教えてくれました。いろいろな流派があるんですって。有名なのは白川軍八郎、高橋竹山、仁太坊、など。勇壮にバチバチ鳴らす流派もありますが、高橋竹山は門付けをして貧しく苦労した人なので、三味線の糸を切ったりバチを痛めるのを嫌い、あまり激しくは弾かなかったとか。それが静かな好もしい音となったというのも興味深いことです。

運転手さん、十三湖のしじみにしても、津軽三味線にしても、実に熱く語ります。生まれ育った場所への愛情が感じられて温かい気持ちになります。

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2017/6/2