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「あな」谷川俊太郎作 和田誠画 福音館書店
ひろしが、あなをほって、ほりつづけて、それからあなの中に入って、満足して、埋めて元に戻しましたとさ。と、それだけのお話なのだけれど。
この充足感。
子どもって何かに熱中するよね。どんな意味があるんだよ、って思うようなことを延々と、汗をかき、夢中になってやっている。そして、いつの間にか、全部、元に戻しちゃったりしてるんだ。すご~く満足そうに。
微かにだけど、そんな覚えもあるし。
いろんな人が見に来て、なにか声をかけていくけれど、ひろしはゆるがない。
ひたすら、ほる。そして、中にすわりつづける。埋める。
いいよなあ。
なんか、いいよ。
読み終えて、満たされた思いになるのが不思議だ。
2014/6/1