かたあしのひよこ

かたあしのひよこ

2021年7月24日

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「かたあしのひよこ」水谷章三・文 いとうひろし・絵 ほるぷ出版

 

四年生の読み聞かせ。悩んだときは昔話に限る、と図書館の絵本の棚を探して発見。スペインの民話だそうだ。ストーリーは「ラン・パン・パン」によく似ている。と思ったら、この話はヨーロッパ全土、そして16世紀の移民後はアルゼンチンやチリなど南アメリカにも伝わっていったそうだ。
 
弱い存在が、自分のかけがえの無いものを権力者に奪われて、それを命がけで取り戻すという話。なるほど、どこの国でも同じような物語が受け入れられるわけである。
 
小さなひよこが、オオカミやライオンや川を飲み込み、ともに旅をし、最後に助けあって王様を倒す、という物語は、圧政に苦しむ庶民にはどれだけうれしく喜ばしいものだったことだろう。
 
と、小難しいことを言わなくても。子どもたちは、「すげー」「ありえねー」と口走りながら、聞くのである。そんな彼らは、ゲーム機を母親に奪われて、ゴキブリを飲み込んで退治しに行く夢を見るのだろうか。
 
真ん中の、ひよこがライオンをごっくんと飲み込むシーンは、子どもたちに大受けまちがいなし。読み聞かせると、七分弱程度。

2015/2/2