あかんやつら

あかんやつら

2021年7月24日

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「あかんやつら 東映京都撮影所血風録春日太一 文藝春秋

 

東映京都撮影所の65年間の歴史を描いた本。戦後の大変な時期から始まって、時代劇の黄金期を経て任侠映画、エロとテロ、大作路線への乗り換え、そして太秦映画村の開村。
 
日本映画の父と呼ばれるわが国最初の映画監督牧野省三の息子、マキノ光雄、マキノ雅弘、松田定次が中心となって東映京都撮影所からたくさんの映画が創りだされてきた。そこから、岡田茂という新しい社長が誕生し、いろいろな路線に進んでいく。
 
歴史の中には中村錦之助、若山富三郎、川谷拓三、菅原文太などの懐かしい名前から夏目雅子や松坂慶子まで登場する。
 
私は子供時代に父に付き合ってテレビの時代劇をよく見ていたのだが、その頃おなじみだった近衛十四郎や品川隆二などの名前に出会い、当時の映像がまざまざと脳裏に蘇ったりもした。
 
大衆路線映画の大量生産時代には、とんでもないスケジュールで次々と映画が作られていた。監督もスタッフも互いにヒロポンを射ち合って、寝ないでボロボロになりながら映画を製作していたという。芸能界のクスリの問題は、この頃から根強くあったのだなあと改めて思う。
 
映画はテレビにその座を奪われ、今やテレビもネットやスマホにしてやられて斜陽になりつつある。時代は変わるのだなあ。
 
だけど、チケット代払ってわざわざ劇場に行って見る映画だからこそわくわくするものでもあるのであって。映画がなくなることはきっとないだろう、とも思った。

2014/5/28