みずいろメガネ

みずいろメガネ

2021年7月24日

81

「みずいろメガネ」中野翠 毎日新聞社

中野緑がサンデー毎日に連載しているコラムをまとめたものが翌年に出版される。それを毎年必ず楽しみに読んでいる。前回のは「金魚のひらひら」。一年経ったんだな、と改めて思う。

2012年に中野翠がどんなふうに過ごしたかがこの中に描かれている。なんだか年取っちゃったわね、と正直思ってしまう。電車で席を譲られる話、押し買い詐欺に会いかけた話。そういえば、私の母も同窓会名簿詐欺に危うく引っかかるところだったっけ。しっかりしていそうな人に限って危ない、というのはほんとうにあるのだな、と思う。中野翠の旧友の呉智英は墓所や墓石のセールス電話にはしばらく応対した後、ところでうちはゾロアスター教です、と言うんだそうだ。これは見事な撃退法だ。

毎回、中野さんの本から、読みたい本を見たい映画をみつける。今回は「ヒタメン」が読みたいと思ったし、「ソウル・キッチン」という映画が見たくなった。そのうち手に入れよう。

最後の方では悪女、角田美代子について熱く書いてあったが、ああ、まだこの時点では彼女が獄内自殺するとは知る由もなかったのだな。木嶋佳苗についてもかなり気にかけていて、犯罪者に対する視線がつい熱くなるのは私と同じだわ、と苦笑してしまった。

2013/9/25