思わず考えちゃう

思わず考えちゃう

2021年7月24日

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「思わず考えちゃう」ヨシタケシンスケ 新潮社

ヨシタケシンスケをあるったけ読んでみようキャンペーン続行中である。ヨシタケシンスケは、普段、スケジュール帳の後ろの方に「思わず考えちゃったこと」をスケッチ、イラストとして描いておく習慣があるという。そして、それがたまると一応保管しておいて、それがあとから絵本やイラストのアイディアにつながることもあるという。この本は、そんなイラストを集めて解説を加えたものである。

読んでいて驚くのだけれど、この人は、思ったよりもずっとデリケートでネガティブで怖がりである。そして、常にうじうじ悩んでいる。著作の絵本からはさらっとしたユーモアが溢れていたりするのだけれど、実はその底にはこれだけの澱が溜まっているのだなあ、としみじみ思う。だよね、人ってそうだよね、とも思う。

相手の「できないこと」によりそうことのむずかしさ。
人の悩みとは、つまりそういうことなのではなかろうか。

身の回り3メートル四方のできごとを、3センチ四方の紙に記録できれば満足です。
今の私がそうだし、今後もそうだったらいいなあ、と思います。

ってなことを毎日ぐじぐじぐじぐじ考えて、ねむくなってきて、ああ、もうねむい、おしまいって感じです。
何かもう世の中いろいろあるけど、結局ねむってしまえば、一回終わる。

           (引用は「思わず考えちゃう」ヨシタケシンスケ より)

「おわりに」で「中年男性の言い訳とヘリクツと負けおしみの数々」とご自分で書いてらっしゃる。なかなか正直。ああ、これは本当の気持ちを書いているんだろうなあ、と思う。こうやって、日々考えて、傷ついて、凹んで、立ち直って、時に嬉しくなったり楽しくなったりもして。人ってそうやって生きてるよね、と思う。中年男性も、熟年女性も、みんな同じようなもんだよ~。

2020/12/22