ひと

ひと

2021年7月24日

71

「ひと」小野寺史宜 祥伝社

いい話だった。「そして、バトンは渡された」に似た読後感。人の善意や暖かさや真っ直ぐさを信じられるような物語だった。

思いがけなく両親を相次いで亡くし、大学もやめて自活せねばならなくなった若者の青春物語。そんな彼につけこむ嫌な奴もいるけれど、暖かい人に囲まれて、善意の中で自分の生き方をしっかり見つけていく・・・。そう書くと、道徳の教科書みたいに思われちゃうかもしれないけど、そうじゃないのね。真摯に生きることの辛さ、美しさ、その両方をちゃんと描ききっていて、読み終えて、胸が暖かくなった。

最後の一言が、とてもいい。

2018/9/27